夜尿症
夜尿症とは、5歳以上の子どもが週に2-3回以上、3ヶ月以上続く夜間の尿失禁を指します。5歳までに20%程度、10歳までに5-10%程度に認められますが、成人までにはほぼ前例が自然治癒します。
夜尿症の症状
夜尿症の主な症状は、夜間に尿を漏らしてしまうことです。具体的な症状としては、以下のようなものがあります。
- 就寝中に尿を漏らす: ほとんどの場合、無意識のうちに尿を漏らしてしまう。
- 朝起きた時に濡れている: 寝具や衣服が濡れていることに気付く。
- 頻尿: 夜中に何度もトイレに起きる。
- 尿意切迫: 尿意を感じたらすぐにトイレに行かないと間に合わない。
- 腹痛: 尿意を感じるとともに腹痛を伴う。
症状は個人差が大きく、軽度から重度まで様々です。また、夜尿症は単独で起こることもあれば、他の病気の症状として現れることもあります。
夜尿症の原因
夜尿症の原因は、まだ完全には解明されていませんが、主に以下の3つの要素が関係していると考えられています。
- 抗利尿ホルモンの不足: 睡眠中に尿量を抑制する抗利尿ホルモンが十分に分泌されない。(夜間尿量の増加)
- 膀胱容量が小さい: 膀胱が小さいため、尿を溜めきれない。
- 覚醒障害: 尿意を感じても目が覚めない。
これらの要素に加え、遺伝、ストレス、生活習慣なども夜尿症の発症に関与していると考えられています。
特に生活習慣は大事です。夜尿症と「便秘」や「塩分の過剰摂取」の関係が認められています。運動不足から便秘になったり、習い事や塾などで夕食の時間が遅いと、就寝までに摂取する水分や塩分(特にスナック菓子やアイスクリームなどは注意)が多くなりがちです。
夜尿症の種類
夜尿症は、いくつかの種類に分類することができます。
- 一次性夜尿症: 生まれてから5歳以降も継続的に夜尿症が持続
- 二次性夜尿症: (6か月以上消えていた)夜尿症が5歳以降に再発
- 単一症候性夜尿症: 夜尿症のみ見られる
- 非単一症候性尿症: 昼間の症状(おもらし、ちびり)も伴う
夜尿症の種類によって、治療法も異なります。
夜尿症の治療法
夜尿症の治療法は、原因や症状によって異なりますが、主に以下の方法があります。
- 生活習慣の改善: 規則正しい生活習慣を送り、十分な睡眠時間を確保する。
- 排尿訓練: 膀胱訓練やアラーム療法などを行い、排尿コントロールを改善する。
- 薬物療法: 抗利尿ホルモン薬や膀胱弛緩薬などを服用する。
- 手術療法:膀胱の解剖学的異常が原因の時などに選択される事がある。
小学校高学年には宿泊を伴う学校行事があり、これをきっかけにクリニックを受診する患者様も多いです。しかし、5、6年生になってから治療を開始するよりも、10歳未満の低学年のうちに治療を開始した方が、最終的な治療に必要な期間が短くなることが報告されています。
夜尿症は適切な治療によって改善することができます。早めに泌尿器科を受診し、医師と相談しながらお子さんに合った治療法を見つけることが大切です。