梅毒
梅毒は、性行為を主な感染経路とする細菌感染症です。かつては不治の病として恐れられていましたが、現代では抗生物質による治療が可能です。しかし、放置すると心臓や脳など、全身に深刻な影響を及ぼすことがあるため、早期の発見と治療が重要です。日本では2021年から急増しており、2022年には届出患者数が1万3千人を超え、社会問題となっています。
梅毒の症状
梅毒の症状は、感染してから時間が経つにつれて段階的に変化します。
第一期梅毒
感染後約3週間で、感染した部位(性器、口腔など)に硬いしこり(初期硬結)や痛みを伴わない潰瘍(硬性下疳)ができます。治療をしなくても症状は自然に軽快しますが、ひそかに病気が進行する場合があるので注意が必要です。
第二期梅毒
感染後約3か月頃、第一期の症状が治まった後、全身に発疹(バラ疹)が現れます。特に手のひらや足の裏に現れる発疹は特徴的です。また、発熱、リンパ節の腫れ、脱毛などの症状を伴うこともあります。
潜伏期
第二期の症状が治まると、症状がほとんどみられなくなる時期を潜伏期といいます。しかし、この間も体内に梅毒菌は存在し、感染力は残っています。
後期梅毒
長い潜伏期の後、心臓、血管、神経系などに深刻な損傷が現れることがあります。動脈瘤、神経麻痺、精神症状など、様々な症状を引き起こします。
梅毒の原因
梅毒の原因は、梅毒トレポネーマという細菌です。この細菌は、主に性行為によって小さな傷口から入り込み、感染します。まれに、感染者の血液や体液と直接接触することによっても感染する可能性があります。
梅毒の種類
梅毒は、感染時期や症状によって、大きく以下の3つに分けられます。
- 早期梅毒:第一期梅毒と第二期梅毒を合わせたものを指します。
- 潜伏梅毒:症状がほとんどみられない時期を指します。
- 後期梅毒:長い潜伏期の後、様々な臓器に損傷が現れる時期を指します。
梅毒の検査
まず、症状のある身体部位の診察を行います。前述のような症状が見られる場合は、血液検査を行います。血液検査では、梅毒の活動性の指標となるRPR法と梅毒トレポネーマに対する抗体(TPHA法)を調べます。両方とも陽性となることで、確定診断となります。
梅毒の治療法
梅毒は、ペニシリンという抗生物質によって治療できます。内服と注射があり、病状に応じて医師が選択します。早期に治療を開始すれば、完治が期待できます。しかし、後期梅毒になると、すでに起こってしまった臓器の損傷を完全に回復させることは難しい場合があります。
梅毒予防
梅毒の予防には、以下のことが大切です。
コンドームの正しい使用
性行為の際には、コンドームを正しく使用することで感染のリスクを大幅に減らすことができます。
パートナーとの間で定期的な検査
性パートナーと定期的に性感染症の検査を受けることが重要です。
複数の性パートナーを持つことを避ける
性パートナーを限定することで、感染のリスクを減らすことができます。
まとめ
梅毒は、早期に治療すれば完治する病気です。しかし、放置すると深刻な後遺症が残る可能性があります。性行為の際には、十分に注意し、少しでも気になる症状があれば、早めに泌尿器科を受診しましょう。