男性更年期障害(LOH症候群)
近年、男性の健康問題として注目されているのが「男性更年期障害(LOH症候群)」です。女性と同様に、男性も年齢とともにホルモンバランスが変化し、様々な症状が現れます。
男性更年期障害(LOH症候群)とは?
男性更年期障害は、加齢に伴い男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が減少することで起こる一連の症状の総称です。加齢男性性腺機能低下症候群(Late-Onset Hypogonadism)といいます。
一般的には40代後半から50代にかけて症状が現れやすくなります。テストステロンは、筋肉や骨の維持、性欲や生殖機能の向上、気分の安定など、様々な役割を担っています。テストステロンの減少は、これらの機能に影響を与え、様々な症状を引き起こします。
男性更年期障害(LOH症候群)の症状
主な症状は、疲労感、倦怠感、筋力低下、発汗、ほてり、頭痛、めまい、不眠、勃起障害、イライラ、不安感、抑うつ気分などです。
男性更年期障害(LOH症候群)の原因
男性更年期障害の原因は、加齢に伴うテストステロンの分泌量の減少です。テストステロンの分泌量は、20歳前後をピークに、徐々に減少していきます。この減少は、遺伝的要因や生活習慣、ストレスなど様々な要因が影響していると考えられています。近年は、食生活の欧米化や運動不足、ストレスの増加などが、男性更年期障害の発症を早めたり、症状を悪化させたりしていると考えられています。
男性更年期障害(LOH症候群)の診断
問診を行い、症状をお伺いします。既往に高血圧、糖尿病、高脂血症などがあるとリスク因子となります。午前中のテストステロン値を測定し、基準値から低下の有無を調べます。50歳以上の方は、PSAの測定も行い前立腺癌の有無をチェックします。
男性更年期障害(LOH症候群)の病気の種類
男性更年期障害は、病気というよりは、様々な症状の総称です。しかし、テストステロンの分泌量減少に伴い、以下のような病気を発症するリスクが高くなります。
- 骨粗鬆症
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 高血圧
- 認知症
- うつ病
これらの病気を予防するためには、生活習慣の改善や適度な運動、ストレス解消などが重要です。
男性更年期障害の治療法
男性更年期障害の治療法は、症状や生活習慣、体質などを考慮して、個別に決められます。
主な治療法
生活習慣の改善
- 規則正しい生活習慣を心がける
- バランスのとれた食事を摂る
- 適度な運動をする
- ストレスを溜めない(上手く発散する)
- 禁煙・禁酒をする
ホルモン補充療法
- テストステロンの値が低い方は、テストステロン製剤を注射
エナルモンデポー(125mg、250mg)の筋肉注射を2~4週毎に継続します。 - ジェルなどで補充する
グローミン軟膏
薬物療法
症状に合わせて、抗うつ薬、睡眠薬、骨粗鬆症治療薬などの薬を服用する
カウンセリング
心理的な悩みや不安について、専門医に相談する
男性更年期障害と向き合うために
男性更年期障害は、決して恥ずかしいことではありません。多くの人が経験する、人生の自然な過程です。症状に悩んでいる場合は、一人で抱え込まず、医療機関を受診しましょう。医師と相談しながら、自分に合った治療法を見つけることが大切です。また、家族や周囲の人にも理解と協力を得ることが、症状の改善につながります。男性更年期障害について正しい知識を持ち、適切な対策を講じることで、心身ともに健康な生活を維持することができます。