前立腺がん
前立腺がんとは?
前立腺は、男性の骨盤内にある、膀胱と直腸の間にあるクルミほどの大きさの臓器です。前立腺は、精液の成分を作る役割を担っています。
前立腺がんは、男性のがん罹患率の中で最も多く、近年増加傾向にあります。早期発見・治療が重要ですが、進行するまで自覚症状がない場合も多く、血液中のPSA(前立腺特異抗原)を測定することで早期発見が可能です。
前立腺がんの症状
早期にはほとんど自覚症状がありません。進行すると、以下のような症状が現れることがあります。
排尿に関する症状
- 尿が出にくい
- 排尿の回数が多い
- 夜中に排尿のために起きなければならない
- 排尿の勢いが弱い
- 尿漏れ
その他
- 血尿
- 腰痛
- 勃起障害
これらの症状は、前立腺がん以外にも様々な原因で起こり得るため、必ずしも前立腺がんとは限りません。しかし、これらの症状がある場合は、早めに泌尿器科を受診することをお勧めします。
前立腺がんの診断
採血検査でPSA値を測定します。【4.0 ng/ml以上】であれば、【前立腺がん疑い】となり、泌尿器科での精査が必要となります。直腸指診や前立腺エコーで前立腺がんの疑いがより強い場合は、MRIによる精査が有用です。MRIでがんを疑う所見がみられた場合は、前立腺生検での確定診断が必要となり、病院への紹介を行っております。
生検で、「前立腺がん」の診断となったら、CTや骨シンチ検査を行い、全身の転移検索をします。転移がなければ早期がん、転移が見つかれば進行がんとなります。
しかし、前立腺がんは他部位のがん(胃がん、肺がん、大腸がん等)と比較すると進行が遅いため、すぐに「命が危ない」と言う心配はありません。見つかった時点で、適切な治療を早めに受けることが重要です。
前立腺がんの原因
前立腺がんの原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、以下の要因が関係していると考えられています。
年齢
年齢とともに罹患率は高くなります。
家族歴
家族に前立腺がん患者がいる場合、罹患リスクが高くなります。
遺伝的要因
特定の遺伝子変異を持つ人は、罹患リスクが高くなります。
人種
アフリカ系アメリカ人は、他の民族に比べて罹患率が高いです。
食生活
高脂肪食や加工肉の摂取は、罹患リスクを高める可能性があります。
ホルモン
男性ホルモン(テストステロン)は、前立腺がんの成長を促進する可能性があります。
前立腺がんの種類
前立腺がんは、進行度や性質によって、以下のように分類されます。
局所進行がん
前立腺のみに留まっている状態
転移性前立腺がん
リンパ節や骨など、前立腺以外の臓器に転移している状態
ホルモン療法感受性がん
男性ホルモン(テストステロン)を抑制することで、がんの成長が抑制される状態
ホルモン療法抵抗性がん
ホルモン療法の効果がなくなった状態
前立腺がんの治療法
前立腺がんの治療法は、進行度や患者さんの年齢、健康状態などを考慮して選択されます。主な治療法は以下の通りです。
監視療法
進行が遅い場合、定期的に検査を行いながら、経過を観察する方法
手術療法
前立腺を摘除する方法
放射線療法
放射線を照射して、がん細胞を殺傷する方法
ホルモン療法
男性ホルモン(テストステロン)を抑制することで、がんの成長を抑制する方法
化学療法
抗がん剤を投与して、がん細胞を殺傷する方法
近年では、ロボット支援手術や強度変調放射線治療(IMRT)など、より低侵襲な治療法も開発されています。
前立腺がんの予防
前立腺がんの予防には、以下のことが有効と考えられています。
バランスの良い食生活
野菜や果物、食物繊維を多く摂取する
適度な運動
定期的に運動を行う
肥満の予防
体重を適正に保つ
定期的な検査
40歳以上の方は、定期的にPSA検査を受ける
まとめ
前立腺がんは、早期発見・治療が重要です。40歳以上の方は、定期的にPSA検査を受けることをお勧めします。また、排尿に関する症状など、気になる症状があれば、早めに泌尿器科を受診しましょう。