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尿路結石症

尿路結石症とは

尿路結石症は、腎臓、尿管、膀胱、尿道などの尿の通り道に、結石と呼ばれる固い塊ができる病気です。結石は、尿に含まれるミネラル成分(主にカルシウム)が結晶化して形成されます。

一般的に「結石」というと「激痛」というイメージがあり、実際にその痛みのため救急搬送となる事もしばしばです。この激痛を起こす原因は、「結石がギザギザしているから」とか「大きい結石が落ちてきているから」と思われる事が多いのですが、実は小さい結石ほど激痛になりやすいのです。

尿路結石は、まず腎臓の中(腎盂じんう、腎杯じんぱい)で形成されます。腎臓そのものには痛みの神経が無いため、腎臓の中に結石が存在する間はあまり痛くなりません。しかし、結石が尿管へ移動すると、尿管には沢山の神経が通っているため、激しい痛みが起きます。また腎臓を包んでいる膜(Gerotaゲロタ筋膜)にもたくさんの神経が集まっており、結石が尿流を妨げる事で腎盂内圧が上昇すると、背部の鈍痛を生じます。

結石は人体にとっては異物と見なされますので、体外へ排除しようとして、尿管が激しく痙攣(けいれん)します。この痛みは3大激痛の1つと言われ、非常に耐え難い痛みのため、モルヒネを打って鎮痛していた時代もありました。
痛みの部位は、尿管の走行に沿って放散される事もあり、痛みの強弱が30分~1時間毎に繰り返し襲ってきます。また、近くにある腸管の動きも麻痺するため、吐き気や嘔吐してしまうこともあります。これが、疝痛発作(せんつうほっさ)と呼ばれる激痛のメカニズムです。

小さな結石(約5mm以下)は、腎臓から尿管へ移動すると、尿管の蠕動(ぜんどう)や尿流によって一気に下方へ移動しようとします。しかし、結石を異物と判断した尿管はさらに過敏に反応して結石のある位置で激しい痙攣を起こします。この時、尿管の粘膜が傷ついたり、出血したりするのです。ですから、血尿の原因としてもよく知られています。

結石がうまく下方へ流れて行き、膀胱への出口(尿管口)を通過できれば、排石されます。膀胱内に排石されると、尿流が回復へ向かい、ひとまず激痛となる心配はなくなります。

膀胱から先の尿路は尿道(にょうどう)と呼ばれます。通常、尿管より尿道の方が太いため、尿管を通過できた結石は尿道を通過します。しかし、前立腺肥大症がある方(中高年の男性)などは、尿道で結石が詰まってしまい、排尿困難や尿閉(尿が出なくなる)となる場合があります。

尿管に落下した結石が、直径10mm以上の大きな結石の場合は、尿管につまる(嵌頓カントンする)場合があります。こうなると、水腎症(腎臓に尿が貯留して腎機能が悪化する)を招き、自然排石の可能性が低くなってしまいます。大きな結石の場合は、背部の鈍痛のみで痛みが少ない場合があり、しばらく時間が経って気づかれずに腎機能が失われてしまう事もあるので注意が必要です。

症状

  • 腰や背中、脇腹などに激しい痛み(左右どちらかに見られることが多い)
  • 血尿
  • 排尿時の痛みや違和感
  • 吐き気や嘔吐
  • 頻回な尿意

原因

  • 食事による影響:カルシウム、シュウ酸、リン酸などの摂取量が多い
  • 水分摂取不足
  • 肥満
  • 糖尿病
  • 高尿酸血症
  • メタボリック症候群
  • 薬剤性(カルシウム製剤、市販の下剤や利尿剤の乱用)
  • 家族歴

病気の種類

結石の成分による分類

シュウ酸カルシウム結石

ほうれん草、チョコレート、紅茶などに多く含まれるシュウ酸と、カルシウムが結合して形成される(最も一般的な結石)。

リン酸カルシウム結石

カルシウムとリン酸が結合して形成される。

尿酸結石

尿酸が結晶化して形成される。

リン酸マグネシウムアンモニウム結石(MAP)

尿路感染症によって形成される。

シスチン結石

遺伝による代謝異常で形成される。

結石の場所による分類

腎結石

腎臓内にできる結石

尿管結石

尿管内にできる結石

膀胱結石

膀胱内にできる結石

尿道結石

尿道内にできる結石

診断方法

検尿

血尿の有無や程度、尿路感染の有無などを見ます。

腎エコー

水腎症や腎結石の有無を見ます。

腹部CT

水腎症を認めた場合は、CTで結石の位置や大きさを確認します。

自然排石が見込まれる場合(7mm以下)は、内服加療で経過をみます。
手術が検討される状態は、次のような場合です。

  1. 痛みが強い場合:痛み止めなどでもコントロール不能な痛みが持続し、日常生活が困難な場合
  2. 水腎症を認める場合:結石が尿管につまり、尿の流れが妨げられるため、腎臓に尿が溜まっている状態。腎機能が低下し、腎機能低下と尿路感染症の危険が高まる。
  3. CTで10mm以上の尿管結石が嵌頓している場合(自然排石困難)

①~③の場合は、発症から1ヶ月以内には、手術するかどうかを早期に決定する必要が出てきます。

治療法

自然排石

小さな結石(5~7mm以下)の場合は、薬を服用して自然に排石するのを待ちます

体外衝撃波結石破砕術 (ESWL)

体外で発生させた衝撃波で体内の結石を砕く(ESWLの適応:10mmまでの腎結石や上部尿管結石)

経皮的腎砕石術 (PNL)

背中の皮膚に約1cmの穴を開けて、内視鏡を腎盂内に挿入し、結石を砕く(PNLの適応:20mmをこえるサンゴ状腎結石など)

経尿道的尿管結石手術 (TUL)

尿道から尿管内に細い内視鏡を挿入し、レーザーで結石を破砕したり鉗子で破片を取り除く(TULの適応:下部尿管結石や嵌頓結石)

予防

  • 水分を十分に摂取する(1日2リットル目標)
  • バランスの良い食事を心がける
  • 肥満を解消する(メタボリック症候群の予防)
  • 定期的に運動をする
  • 尿酸やシスチンによる結石の場合は、内服による溶解療法

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