精索静脈瘤
精索静脈瘤とは、精巣(睾丸)にある静脈が拡張し、こぶのように腫れた状態を指します。男性の10~15%にみられ、比較的多い疾患です。思春期以降に発症することが多く、多くは左側に発生します。男性不妊症の原因になることがあります。
精索静脈瘤の症状
- 陰嚢(睾丸を包む袋)のあたりに、蛇行した静脈が触れる
- 鈍痛や重だるさを感じる
- 長時間立っていると症状が悪化する
- 立ち仕事や運動時に痛みを感じる
- 無症状の場合もある
精索静脈瘤の原因
精索静脈には、血液の逆流を防ぐための弁が備わっています。しかし、この弁が何らかの原因で機能しなくなると、血液が逆流して精巣静脈が拡張し、精索静脈瘤となります。
精索静脈瘤の病気の種類
精索静脈瘤は、触診や超音波検査によって診断されます。重症度によって、以下のように分類されます。
- グレード1:触診では触知できないが、超音波検査で確認できる
- グレード2:立ち上がると触知できる(触ってわかる)
- グレード3:仰向けでも触知できる(見てわかる)
精索静脈瘤の合併症
精索静脈瘤の合併症としては、以下のものがあります。
- 男性不妊症
- 精巣の萎縮
- 慢性的な痛み
特に、男性不妊症は大きな問題となっています。精巣は、体の少し外側にあることにより、体温より2℃ほど低温に保たれます。それにより、精子を造る機能が活性化されます。しかし、精索静脈瘤があると精巣から心臓へ戻る血液が逆流し、うっ滞するため、精巣を低温に保つことが出来なくなります。従って、精子の機能が低下し、不妊の原因となります。
精索静脈瘤の治療法
精索静脈瘤は、無症状の場合や軽症の場合は経過観察で問題ないことが多いです。しかし、以下の場合には治療が必要となる場合があります。
- 痛みや重だるさなどの症状がある
- 男性不妊症の原因となっている(約40%以上)
- 精巣の萎縮が認められる
治療法
- 手術療法:精索静脈を結紮したり、塞栓したりして、血液の逆流を止める
- マイクロサージャリー:顕微鏡を用いて、精索静脈を精密に結紮する
精索静脈瘤の手術について
手術は、局所麻酔または全身麻酔で行われます。手術時間は、約60分程度です。
精索静脈瘤の予防
精索静脈瘤を完全に予防することはできませんが、以下のことに気を付けることで、発症リスクを軽減できる可能性があります。
- 長時間の立ち仕事を避ける
- 適度な運動をする
- 肥満を解消する
精索静脈瘤は、男性にとって比較的よくみられる病気です。しかし、放置すると男性不妊症などの原因となることもあります。心配な場合は、早めに泌尿器科を受診しましょう。