頻尿「おしっこが近い」
おしっこが近いと感じたり、1日の排尿回数が多いと感じたりすることはありませんか?
一般的に、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます。夜は1回以上トイレに起きる事を夜間頻尿(夜間頻尿のお話へ)といいます。起きてる時は、約2時間に1回以上は頻尿ということになります。しかし、これはあくまでも定められた基準です。人間はロボットではないため、決まった時間に決まった量の尿が出る訳ではありません。その日の気候や体調、運動量や食事の量、水分摂取量によっても変化しますし、緊張してるのかリラックスしてるのかなどメンタル面の変化でも排尿回数は異なります。つまり、環境や体の条件が違えば、排尿も変化するのが普通です。排尿回数は人によって様々ですので、自分自身が排尿回数が多いと感じる場合も頻尿と捉えることができます。今までの自分の排尿と明らかに違いを感じたら、ぜひ泌尿器科の受診をお勧めします。
頻尿の原因
頻尿の原因は様々ですが、過活動膀胱、残尿(排尿後にも膀胱の中に尿が残ること)、多尿(尿量が多いこと)、尿路感染・炎症、腫瘍、心因性に分けることができます。
過活動膀胱
膀胱が過敏になっているため、少量の尿でも尿意を感じます。急に尿がしたくなって我慢ができない(尿意切迫感)、間に合わずに漏れてしまう(切迫性尿失禁)などの症状があり、1000万人以上の男女が罹患していると言われています。病気が原因のこともありますが、加齢変化による場合や原因がはっきりしない事もあります。
残尿過多
排尿後も膀胱に尿が残る事をさします。100cc以上の残尿は治療が必要です。男性の場合は、加齢に伴い前立腺肥大症となり、下部尿路の閉塞によって排尿後に出しきれない尿が膀胱に残る場合があります。その他、糖尿病や骨盤内の手術などで膀胱を収縮させる神経が障害され(神経因性膀胱)、最後まで尿を排出できない場合があります。そのため、1回の尿排出量が減少し、頻尿になります。
多尿
1日の尿量が異常に増えた状態をさします。水分の過剰摂取、カフェインやアルコールの摂取が原因となっていることがあります。その他、糖尿病や尿崩症などの内分泌疾患や利尿剤などの薬剤による副作用も挙げられます。最近では、若者の間で流行っている「エナジードリンク」もカフェイン含有量が多く、過剰摂取に気を付けるべきです。
尿路感染・炎症
膀胱炎などの尿路感症が原因で、尿路の粘膜がただれ、神経過敏となるため、頻尿となります。実際はあまり尿が溜まっていないのに、尿意が頻繁になります。排尿時痛や血尿、発熱を伴うことがあります。
腫瘍による
膀胱がんなどが発生すると、膀胱刺激症状により頻尿となる可能性があります。
心因性
特に病気がない場合でも、トイレが気になり近くなったりします。仕事や学校などの人間関係の変化、引越しなどによる生活環境の変化、緊張やストレス状態の持続など原因はさまざまです。
頻尿が引き起こされる病気
頻尿は、様々な病気の症状として現れることがあります。
主な病気
頻尿の処置や治療法
頻尿の治療法は、原因によって異なります。検尿や超音波検査を行い、原因を精査した後に、判断します。
主な治療法
生活習慣の改善
水分摂取量の調整、カフェインやアルコールを控える、便秘の解消、肥満の解消
薬物療法
β3作動薬、抗コリン薬、抗利尿ホルモン薬
手術療法
悪性腫瘍が疑われる場合以外は、最初から手術が必要となることはほとんどありません。薬物療法でも治療困難な場合で、以下の診断の場合は必要に応じて手術加療をお勧めすることがあります。
- 前立腺肥大症
- 難治性過活動膀胱
- 間質性膀胱炎